Cyril Kongo
シリル コンゴ
フランスを代表する世界的なアーバンアーティスト。
1969年、ベトナム戦争の最中に仏:トゥールーズに生まれる。幼少期の一部をベトナムで過ごし、サイゴン陥落後2年間、母親と共にコンゴ共和国の首都ブラザビルに住んでいたことが彼に大きな影響を与え、後のアーティスト名の一部となる。
17歳にパリで本格的にグラフィティ制作を始める。その後、仏で有名なアーティストグループであるMort Aux Cons(通称MAC)Crewに参加し、パリの壁に積極的にアートを描いていく。
2002年には当時、アーバンアートが破壊行為と見なされていた時代に、それまでの固定概念を覆す仏初のグラフィティフェスティバルである“Kosmopolite festival”を立ち上げ、アーバンアートが主要な芸術であることを人々に普及させる立役者となった。以後、フェスティバルは12年間連続で開催される事となり、アーバンアート、ストリート文化における人々の認識を変え、街にエネルギーを与える行事となった。
地道なアーティスト活動によって、ヨーロッパだけでなく、着実に世界的に広く知られるようになり、プレステージブランドであるHERMESを皮切りにCHANEL,Richard Milleとのコラボレーションを果たした。
Art Style
16歳の時、NYから戻ってきた友人を通じて、当時の新しい文化であったヒップホップとの出会いがシリルの人生に変化をもたらした。その後アーバンアートの世界に飛び込み、30年間という長いキャリアの中で築き上げた独創的な技術と鮮やかな色彩感覚で描くグラフィカルなフレーズは、重なり合うテキストの層となり、大胆で飽和した色合いで溢れている。今や壁、キャンバスにとどまらず様々な企業、プロダクトとコラボレーションを行い、現代的な方法で多くの人々にアートの豊かさ、寛大さを伝えている。
Mr.Colorful
Mr.Colorful
アート界の“ミスターカラフル”と知られるシリルの作品は多種多様な色彩をぎっしりと敷き詰めており、見る人の心を掴み、作品の世界観へと没頭させる魅力を秘めている。複雑な文字と眩しいほどの鮮やかな色使いは、喧嘩をせず何故かまとまりを持って一つの作品として完結していく。
シリルにとって色は生命を意味し、作品を通して命・平和・エネルギーを鑑賞者と分かち合うことを意図している。探究心が劣ることない彼の今後の作品にも是非注目したい。
Biography
Kongo×HERMES 2011
Creation for HERMES
2007年、香港で日曜の午後に壁にタグを描いていた際に、エルメスアジアパシフィックマネージングディレクターに声をかけられた事がきっかけで、ウィンドウディスプレイから始める。その後、「Carre’ Graff」と呼ばれる独占的なスカーフシリーズを展開したエルメスは2011-2012年秋冬コレクションはこれまでの習慣を打ち破り、アーバンアートを強調することで大きな成功を収めた。収益の一部はコスモポリテアートツアープロジェクトに寄付された。
Richard Mille×Cyril Kongo 2016
RM68-01 Tourbillon Cyril Kongo
2016年にはスイスの老舗時計メーカーである、リシャール・ミルと共同制作で「RM68-01 トゥールビヨン シリル・コンゴ」が世界で30個限定発売された。5cm四方の小さな文字盤にペイントを施すには専用のエアブラシの開発から始まり、僅か数ミリほどのパーツに視覚効果を吟味しながら直接ペイントを施す地道で慎重な作業のため、完成までに2年を費やした。
CHANEL
THE 2018/19 METIERS D'ART COLLECTION
2018年12月にはニューヨークのメトロポリタン美術館のエジプシャンギャラリーにあるデドゥール神殿で、古代エジプトをテーマにした工芸品のパレードを開催するため、当時、シャネルのアーティスティックディレクターであったカール・ラガーフェルドはシリルにデザイン依頼をする。シャネルの美学を古代象形文字とグラフィティで再解釈を行い、革新的なデザインとシリルならではの派手な色彩で人々を魅了した。